日本国内で看護師が不足している、医師が不足しているという状況はいつから続いているのでしょうか。もしかしたら、ここをご覧のあなたが生まれるよりもずっと昔から言われているのかもしれません。
にもかかわらず、その状況が好転しなのは、国や自治体の取り組みにも問題があるのかもしれませんが、こうした取り組みが結果を出すまでに時間がかかるのも事実です。一概に政治が悪いと批判することもできません。
そんな中でも看護師の転職があまり進まないのはどうしてなのでしょうか。こういう状況ですから、仕事そのものはたくさんあるので、他の職業と比較すると転職が容易そうに見えます。
一つには、看護師の受け取る報酬が少しずつ下がってきているということがあります。ある統計によりますと、2001年時点の看護師の平均年収は480万円だったのですが、現在ではおよそ450万円まで低下していると言います。年間の収入が30万円も減少してしまうのは確かに大変ですね。
看護師は仕事にあぶれることが少ないので、他の仕事と比較すると経済リスクがいくらか低いのは事実です。しかし、まったく無いというわけでもないのです。
特にこれは、自分の収入に直接響いてくるので看過することはできない問題ですね。
また、多くの看護師が女性であるという点も転職に二の足を踏む理由の1つになっています。女性の場合、人生の中で発生するライフイベントが、キャリアに与える影響は男性よりも大きいからです。
例えば結婚を見てみましょう。女性の中には夫となった男性と一緒に暮らすために転居したり、夫の地元に転居したりという出来事がある場合があります。転居自体が転職のきっかけになる場合もありますが、ケースによってはそれは転職ではなく休職や退職につながることも少なくありません。
また、家族と一緒に生活することによって、変則的な勤務体系に対処できなくなってしまう場合もあります。不規則な時間帯の勤務は、ともに暮らす家族への負担があまりにも大きいからです。
出産についても同じことが言えます。子育てをしながら変則的な時間の勤務など、事実上不可能です。そうなると、最低でも託児所のある職場、あるいは近所に遅い時間でも子供をあずけることのできる保育園があることが必須となります。そうした職場を探すのは簡単なことではありません。
この他にも、年齢から転職を諦める人も少なくありません。転職を希望するにしても、こうしたさまざまな理由で転職を諦めてしまう人が多いのが現状です。